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【NBAコラム】キャブス デイビッド・ブラッドHC解雇の裏をほじくり返してみよう!

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 つい先日、勝率67.5%、プレイオフでは70%の高勝率を誇っていた、クリーブランド・キャバリアーズのデイビット・ブラッドHCが解雇されました。

 後任にタイロン・ルーACが指名され、3年契約を結ぶなど、コーチの解任劇としては非常に珍しいことが起こっています。

 それについての速報記事はこちら↓

nbanow.hateblo.jp

情報を整理してみよう!

 一通り情報が揃ってきましたので、ここで一旦情報を整理してみます。

・キャブスの勝率(ブラッドHC) 

  今シーズンのちょうど半分に当たる41試合で、30勝11敗、勝率73.2%、イースト1位

・ブラッドHCの悪評

 レブロンに審判への文句を止められ、軽くどけられる。

 オフェンスにはアイソレーション(主にレブロン)を多用。

 ディフェンスは指示が足りない(主にスクリーン時のヘルプ)。

 NBAのルールを理解しきっていない(カンファレンスセミファイナルブルズ戦で残り0.8秒、タイムアウトを使って、フロントコートでのインバウンドにできるはずが、コーチはそのまま続行、ロングパスを指示。)このルールは国際ルールには存在しない。

 ユーロリーグ時代にはウォリアーズタイプのスリーポイントを多用するオフェンスを指示。ビッグラインナップのキャブスには合わないか?

 

レブロンの影響

 本人のエージェントが、今季開幕前のオフシーズンにブラッドHCを解雇すべきとの助言をフロント陣に行う。

 「ブラッド」と呼び捨てにする(親しみがある場合はデイビッドと呼ぶはず)。

 試合中にブラッドHCを無視。

 ボイコットとも取れるような試合中での振る舞い(わざとオフェンスに参加せず、ディフェンスもわざと相手に抜かれる、ディフェンスすべき相手から遠ざかる、リバウンドを取りに行かない)をブレイザーズ戦、スパーズ戦、大敗のウォリアーズ戦で行う。これが大敗の主な原因。

 ブラッドHCの指示に対して「Yes sir」とだけ返答して、目はそっぽを向いている。

 

・チーム内の状況

 両カンファレンスのトップ4チームに対してのネットレーティング値(オフェンス・ディフェンスの能力値)がマイナスになっており、スパーズ・ウォリアーズに対してのネットレーティング値が異常に低く、-15程度。

 ウォリアーズ戦、スパーズ戦ともにケビン・ラブのヘルプディフェンスが全く機能せず。

 レブロン・ジェームズ、ジェームズ・ジョーンズの優勝経験メンバーを中心に、選手のみでのミーティングを複数回実施。

 ラブが仲間はずれ(写真に入れてもらえないなど)。

 ロッカールームの雰囲気が悪く、「チーム」と言える状態ではない。

 

・タイロン・ルーAC

 リーグ内で1番給料の高いアシスタントコーチ。

 クリッパーズのドック・リバースのもとでのアシスタントコーチ経験。

 選手としてはスターには及ばなかったものの、フィル・ジャクソンHC下のコービー、シャックとプレイ。

 ワシントンでのキャリア終盤のマイケル・ジョーダンとともにプレイ。

 トレーシー・マグレイディ、ダーク・ノビツキードワイト・ハワードともともにプレイ。

 スター選手とともにNBAで経験を積む。

 レブロンと17歳頃から仲が良い。

  

 一通り集めてみましたが、こんな感じでしょうか。やはり、レブロンのエージェントが関わっているとなるとチームにとってはおおごとです。トリスタン・トンプソンとレブロン・ジェームズの二人を一気に敵に回すのと同じですから。

 ご覧のとおりチーム内の状況は悪く、こんな状態で勝利を重ねていたことが信じられません。

 いかにスパーズや、ウォリアーズのチーム内の状況が素晴らしいかがわかります。

 

 タイロン・ルー新HCが作る新しいページ

 なぜタイロン・ルーが暫定HCではなく3年契約をすぐに結ぶことができたか。それはルーのコーチングの素晴らしさと、選手からの信頼にあります。フロント陣が「ブラッドよりもルーがいい!いや、ルーならキャブスを優勝に導ける!」という気持ちを持っていたということです。そこにレブロン・ジェームズのエージェントが進言したということで、コーチ交代の準備が整ったのでしょう。選手たちもここまでくれば戸惑いもなく、堂々とプレイできるはずです。

 今シーズンHCを解雇したネッツとロケッツは、「このHCは嫌だ!」という理由で解雇されているのですから、キャブスとの差は歴然です。

 

 タイロン・ルーHCが就任して最初の試合のゲーム前、ルーHCはこんなことを選手に話していました。

 "The game will pass you by, so you have to enjoy it."

 私は、「このゲームはあなたのすぐ横を去っていく」という意味で訳させていただきます。何もしなくても試合は去っていってしまう。だから、この試合を楽しもうじゃないかということでしょう。

 この言葉がチームの行先を大きく表しています。

 現に、チームの状況は非常に悪く、チーム内でのいじめが勃発するほどです。

 

 ルーHC最初の試合は負けてしまったものの、ディフェンスの改善が見られ、その次のウルブス戦、サンズ戦はレブロンのアシストも伸び、ディフェンスキャストであるシャンパートとデラヴェドーヴァの活躍も十分です。

 

 HC解雇でチャンピオンの夢は潰える?

 いえ、そうは思いません。もしも今のままプレイオフに進出した場合、混戦のイーストでファーストラウンド敗退すら見えていたと思います。さらに、ヒートやペイサーズなど、レブロン耐性のある(レブロンを止められる選手を持つ)チームにあたった場合、あっさり負けていてもおかしくなかったとすら思います。

 しかし、思い切ってコーチを変えたことで、選手たちの思いもリベンジに向くでしょう。ディフェンスとチーム内の状況が改善されたキャブスは、更にピースが噛みあい、ウォリアーズよりも更に良いチームになると確信できると思います。

 

 また、ブラッドHCはユーロリーグの最優秀HC賞を獲得したこともあり、ネッツなど、他のチームも目をつけているという話も聞きますので、リック・カーライルさんが批判するほど悪い解雇ではなかったのではないでしょうか。

 ちなみにネッツのオーナーはロシア人で、ブラッドはロシア代表のコーチ経験があります。

 

 タイロン・ルー新HC、デイビッド・ブラッドさんの動向を含め、今後のキャブスの更なる成長が楽しみで仕方がありません。 

            You have to enjoy it! see you later!